遅まきながら2013.2月にインド映画に恋をしてしまいました。


by Akane

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Intermission 映画の上映権利

2.3日前、恋する輪廻の上映権がもうすぐ切れるというちょっと残念なお知らせが飛び込んできました。2013年から全国ロードショーでしたから、5年で上映権契約が切れるということなのですね。この記事はかなり前に書いて発表してなかったのを再構成して掲載してます
---------------

映画の上映権利について、お話しましょう。
映画は知的財産権を持つ商品です。ですので、当然、代金があります。当たり前ですね(笑)

 普通には、その映画を上映するために「上映権」を映画製作会社から代理店を通して買うのです。買うといっても、小さな町の上映館でかける代金から、すべての権利を買い取って上映できる権利やらと様々です。 
 映画の配給会社から映画を上映する場合、1週間x回上映でいくら・・・というような値段が決まっており、その値段で上映館やイベントなどの(地方公民館などでやってるような映画上映とかもこういうもの)上映を行います。 イベント上映などは、映画会社から上映施設の無いところは映像素材と機械ごと借りたり、あるいは上映できる施設を借りて、映画を上映するわけです。映画館によっては団体様客の為に「貸館上映」を行ってたりすることもあるので、そういうのは企業様向けなんかに特別上映してたりもしますよね。最近のインド映画では、インド人コミュニティ向け上映で、貸館上映をしてたりするところもあります。

 ですから、個人ででも、何らかの映画を上映したい場合は、その映画上映の権利を持ってるところに交渉して上映が叶いますし、実際にそれを個人でやったツワモノもおられます(あなたのことはわたくしずっとリスペクトでございます)。
 本来決まっているビジネスのしっかりした契約と手順を踏めば、上映自体は叶うことではあります。
ですので、一回きりの上映なら努力すれば個人でも可能であり、そんなにお高くも無い映画もあります。そういや黄金寺院のボランティアのドキュメンタリー映画では、カレーイベントとあわせて小さなところで順繰りに上映会など行っておりましたね。
 ここまでは、既に日本で上映できる権利を持っている映画のお話。

 映画の配給会社は、その映画の権利を直接映画を作ってる製作会社もしくはその代理店や映画のバイヤーと交渉して映画を買い付けます。一回だけ等の短い期間の上映権や、長期間契約の本格全国上映 などによって、その上映権利も範囲も変わり、料金もこと細かく決められています。

 一回きりのような上映権は、わりとその上映できる環境さえ整えられれば、お金を出せば上映が出来ます。が、一回きりなどの短い上映では、もちろん!その映画を長期間上映する権利も無ければ、その映画でDVDなど作って販売する権利などもついてきません。たかが数回の上映権では、そこまでビジネスは出来ないのは当たり前という業界です。 
 DVDなどにする権利というのは(メディア化権)、その映画の取引の別のオプション/料金が発生するものでして、映画会社さんは、映画の上映期間のきめられた権利メディア化権宣伝に使っていい商材の買い付けetc… を含めてビジネス計画を立て映画を買い、買った映画を上映してくれる上映館に営業にだすわけです。

 ときおり映画上映権よりも「メディア化権」をどうやらもっているタイトルもあるようで、メディア化に向けて箔付け上映みたいな興行をすることもあります。上映権を持っていても全国展開で上映してくれるチャンスがないような映画は、このような「メディアスルー」で販売だけしたり、あるいはなんとか箔付け上映だけしたりなど割とありますよね(^^;) (一昔前のインド映画も割とそんなことあった・泣) 権利商売ですので、その権利に見合う代金を払って映画配給会社は本国の映画と取引し、それを町の上映館通じてお客に映画を届けるのです。

 このようにいろんな上映権利を全てひっくるめて持っているのをオールライツといい、そうなると本国からの買い付けは当然!お高くなります。ハリウッド大型映画等は、映画の上映権(年数期限有、大体7年ほどだそう)+そのポスターなどにする画像などの商材(ポスターやパンフ、チラシなどに使われ、グッズなどにもなったり)+メディア化権・・その他もろもろに、宣伝費が加わるので、相当に大きなお金が動く事業となります。
 ですが映画は時の運、あたることもあれば、当たらないこともある(^^;) 逆にそんなに期待していなかったのに、評判を呼んで集客力が叶う映画もあったりします。映画事業は多少山師的な博打な部分もあり、大手は資金も宣伝力もその回収率も、それまで積み上げてきたノウハウで固定的な収入が取れて安定がさせれますが、小さい会社はそういうわけにはいかず浮き沈みの激しい業界でもあるのかもしれません。
 ここまでは、どこの国も同じ共通した認識のビジネスの基本のお話です。




 そこに、インド映画には、少々別の事情が加わります。(インド側の)映倫と多言語がやはりそれに影響します。

 これはインド映画が非常に多言語の業界であるために言語別の吹き替えも盛んでして、ご当地スターもいますし、広いインド故に言語圏が違うと大手の代理店も違う(この地域はこっちのA代理店地域、あの地域はB代理店の商売地域というような)、縄張り?(笑)みたいなものがあるようです。
 そこで、大手製作会社の映画で国民的大スターの映画となると、その配給代理店が3つくらいついたりします。まずは、インド国内特に世界市場に出す映画の代理店(ヒンディ語圏など北中心)、インドの国内でも言語の違う南インド方面への販売網を持つ代理店、他、諸外国でもあまり裕福ではない地域への輸出をおこなう極東や東南アジアやら、他地域やらに出すような代理店・・・など、おそらくその販売網地域とかの縄張りがそれぞれあって、それらの代理店がいくつもに分かれて、その縄張り侵さぬよう映画を売買しているのだと思われます。日本などはそういう代理店なんかの極東アジア営業担当の中にわからぬほどに埋没してる取引先ではないかと思っています。(日本でインド映画は儲からないと本国インドから思われている。実際中国市場にはインド映画はどんどん出てますし)

 言語の違いは文化慣習宗教政治の違いでもあるので、地域によってはカットシーンが増えたり、セリフがその地域向けに変更されたりなどした吹き替えや、リメイクの話は以前もしましたが、これはいいかえれば「上映素材の内容が、地域によって違う」ということでもあります。
 男女のラブシーンなどはあまりに濃厚だと、イスラム圏の上映だととんでもないことになりますし、そういう映倫の厳しいインド映画では、外国向けの上映素材となるとインターミッションが削られたりダンスシーンがバッサリ無くなってたりすることも多く、インターナショナル版は長いからと国際向けの時間でカットされてるだけでなく、世界を飛び回る誰の目に触れるかわからないこともあるので、映倫的に宗教や文化を超えれない危なそうなシーンはカットされてたりするんですね。
 なので国際版で出されるインド映画はカット版がほとんどです(国際版は完全オリジナルはほぼない、大きな賞狙いの映画祭向け上映は別)。これがまた劇場上映ならそんなにひどくは無いのですが、飛行機などの中で見れる国際版だとさらに切られてたりするようで、私の知り合いは飛行機で、あのシャールクの「命ある限り」のMVシーン全部カット!という恐ろしいバージョンで見たようです(それでもシャールクの魅力にメロメロだと仰ってましたが・笑)。

 そして、こうなってくるとこれらのいわば上映素材の「中味」については、その映像内容と質によって料金も変わるわけです。これらのことから、NetFlix日本版のようなインターミッションの無いインド映画は、国際版であると同時におそらくオリジナル完全版よりは、権利料が安いものだと、想像することが出来ます。
 必ずしもどんな映画もオールライツで全権利を取れるわけでもなく、こういうのはお金と相談となる上に、短いバージョン、長いバージョン、完全版とでは、値段も変わってくるのですから、映画を買い付けるバイヤーも、そこを一筋縄ではいかない交渉力がいることと思います。 

 せんだってもちょっと問題になった「クイーン」ですが、最初に上映されたのは短縮版だったそうで、今現在はオリジナル版とゆわれて上映がなされています。おそらくはインド映画にありがちな「インターナショナル版」というワールドワイド向けに短く編集された映画を買い付けたか何かしたようです。これはその辺りの知識をしっかり持って、どのバージョンがいいかを検討できる知識と交渉力が買う側に必要なのですが。買った配給元は他にもいろんな問題を起こしていますので、ちょっとしっかり交渉力も知識もないままに買ってしまったのかもしれませんねぇ。
 でも本当に完全版なのでしょうか?まだ観に行ってないので何とも言えませんが、ワタクシ、本国のDVDメディア手にしてますので… 映画館へ行って確かめてこようとは思っています(^^;) 追記:先日見に行ってきましたが、インターナショナル版でした。完全オリジナルは146分。日本上映は140分です。まぁインターミッションシーンが削られるのは世界中どこでもしょうがない話なので、上映内容としては許容範囲と思います。

 インド映画へのこういう知識がしっかりあって、その上商売上手なインド人相手に交渉しなければならず、しかも送り付けてくる映像が本当にその中身が合致するシロモノかどうかも、大変いちいち確認を怠るわけにはいかない「むずかしさ」が、インド映画を取引する上であるのです。また南インド向けな販売網を持つ映像素材だと、繊細な音質調整をしないで、ただただ!デカい音ワレてもOKな品質の映画もありまして(^^;)…(これは大きな映画館でガンガンに音を鳴らしながら見せるのを前提にしてて、最初っから音が割れてる映像の映画ってのにも、南インドや東南アジアなどのアジア向け販売の映画でいくつかであったことがあります…マジで(^^;))

 日本で「チェイス」が2014年に興行されましたが、これはインターナショナル版をさらに日本向けにカットしていたバージョンのようでして、オリジナル完全版でメディアが発売されたとき、それを見た別の知り合いは「ええええええ?最初の十数分丸ごと無いの?」と映画館で見たバージョンとのあまりの違いにさすがに驚いておられましたw そら私も日本上映あれ見たとき、このDhoomシリーズの「アビーとウダイのお約束なネタが無いっ!!」と眼がビックリ眼になりましたもんw 
 
 オリジナル完全版を望む人の気持ちも、映画好きな人にはものすごくよくわかりますが、上映館で上映される事情(長い映画は困る映画館も多い)も絡むと、やはり国際版のカット版になってしまうのは、しょうがない話なのかもしれません。
 (それ思うと、2013年のOSOといい、ボリウッド4のキャンペーン張ったあの4本といい、よくまぁカット版ではなくオリジナル版を全部上映したな…とさすが大手さんは、ありがたやありがたや…な話でして。)

 このあと日本では、「Lingaaリンガー」「ダンガル」なども上映予定ではあります。
 残念なことに「ダンガル」は発表されたポスターが大不評で(^^;)、というかこの映画も物凄く興行成績を上げた映画ですから、絶対!上映権料が「高い!」に決まってるわけで(これマジで、アーミルの映画は本当に高いんだよ… ^^;)、ここまでに書いたいろんな映画の事情を察するに「オールライツではなく、また宣伝の為の商材も含めると予算が合わなかった?」ので、宣伝用商材も制限された?商品をその配給元さんがお買いになられたのかなぁ?とそう思ってみています。日本での上映時間は161分となっていたので、オリジナルのままではありますね。(これディズニーなんだよねぇ…配給。だから日本の側の会社もギャガと大手ですな…)

 「Lingaa」は2014年の少し前の映画とはいえ(多分少し前だとお安くなる?)、ラジニ映画は国際市場にファンがいるので、インドの代理店も「Eros International」と大手ですし、178分というオリジナル完全版!を上映されるというのは、映画を買われた配給さんが、素晴らしく本国代理人と交渉した結果といえますし、かなりお値段的なものも頑張ったんじゃないかと思ってみています。(小さいだろうところがここまで頑張ってるのはさすがに凄い!ラジニ様やインド映画への深い本物の愛無くしては出来ない芸当だわ…さすが!_(^^;)) (サラリーマンが映画を買いましたのOさんが買った「ダバング大胆不敵」のようなあれを彷彿とさせますわ…あの映画は(日本の)映倫通さずミニシアター上映でかなり頑張りましたもんね。日本の映倫って上映館協会みたいな側の自主規制みたいなものなので、社会的な映画や難しい映画なんかは映倫通すと上映しにくくなるので通さない映画も結構あるんですが、そういう映画は大手上映館での扱いが難しくなりやすいんで、映画マニアのような人はそういう映画をミニシアター巡りなどするんですよ)

 インド映画には、どことどうやってどう取引するかで、その上映される映像の質(映像の長さや、言語吹き替えなどの違い、音質等)が、違うものを買い付ける可能性がある…ということは、少し知っておいて欲しいと願います。

 映画ビジネスの世界は、版権・権利商売なのでとても複雑ではありますが、さらに複雑な社会事情を抱えるインド映画が、こうやって日本にたどり着いてくれるのは、それなりにその方々のきめ細やかな努力無くしては、その場に無いということは、どうかお分かりになっていただけたらと思います。


  @@今回は「ビジネスとしての上映のお話」でした。「映画祭上映」の事情は全くこれらとは異なりますので、上に書いた範疇では無い!もっと面倒なものが諸々あって(モノによっては上映代が無いものもあれば、映画祭上映ということでお安い権料だけで上映出来てるものもある。)、また、時には上映素材がオリジナルとかけ離れすぎてたり、ヤバイというようなものもあるかもしれない…話は、また今度次の機会に。


---追記 2018.3.21--
 この話の続きとして、「Intermission 映倫検閲基準は国によって違う」という項目も書いておりますので、合わせてお読みいただけると幸いです。

by AkaneChiba | 2018-02-06 03:32 | Intermission | Comments(0)

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