遅まきながら2013.2月にインド映画に恋をしてしまいました。


by Akane

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FANとインド音楽について

映画「FAN」について、ひとつ前の映画の記事に追記で音楽について一アーティクルしたためます。
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<インドの映画音楽は独特>
 この映画の素晴らしさを語る上で外せない映画音楽というファクターについてお話しましょう。
 というのも、インド映画の音楽部門については、インド映画がミュージカル要素が非常に大きい映画作りをしていながらも、アイテムソングで事前のプロモーションなどのミュージックランチを行い、つまり売れる楽曲を作らせて、そして映画上映まで盛り上げる・・・というビジネススタイルを引いているインド映画独特の手法があります。この「FAN」という映画はそのインド的手法をとらない音楽BGMを製作しているのです。

 一部「FAN」でも、宣伝用アイテムソングとして「JABRA FAN songs」が製作され、映画を盛り上げる宣伝にインドの数言語で吹き替えられネットやインドのプロモーティングに大いに貢献しました。これは通常のインド映画のミュージックの扱い方であり宣伝方法でもあります。
 これらのプロモで発売されるCDやMP3配信などは、いわゆるヒットソング的な要素を多分に含み、誰の耳にもその歌詞と共に残るわかりやすい音楽が作られ、映画のヒットとともに、音楽のヒットも重要な映画のスタンスとして取り上げられてきました。
 ただ、これは、インド音楽を基本にした音楽のつくりになっていて、もちろんその昔の懐かしいクラッシック映画でも、フルオーケストラサウンドや、ビックバンドサウンドがなかったわけではありませんが、欧米型の映画音楽(日本はこちら側)のような「BGMサウンドトラック」の概念あまりなく、販売されてきたレコード、カセットテープ、CD、MP3に、映画のBGMによくありがちなフルオーケストラ・サウオンドトラックのようなものは、殆ど見ることができないのです。

 実は一部、才能のある有名アーティストによって、そのようなサントラ盤はもちろん販売されてきてはいますが、それは本当に極稀で、そのような才能のアーティストはそう多くはありません。インド映画音楽は独特の個性にもなってインドの音楽市場を盛り上げていますが、そのインド独特の特徴は半面、インド以外の国での上映興行の弱点にもなっています。また本来はそれを作曲/演奏する演奏家たちへの評価をもしてこなければならず、その部分で、フルサウンドトラック市場がインドにないということは、世間の社会的評価が得られにくくもなり、あまりその業界/産業を支え育てる上では、マイナスになってしまう懸念もあります。
 インドのその特殊な音楽事情がインドの個性といえばそうなのですが、逆に映画の製作の幅に制限を設けてしまいかねないことになっては、意味がありません。



<名前の立つアーティストたち>
 映画そのものも、様々な技術を世界中から取り入れて進化してきている目覚ましい発展を遂げているインド映画のスタイルも、欧米風な技術・スタイル・作風・演出・そして音楽・・・も取り入れるようになってきており、フルサウンド・スコアの書ける人材も、名前が立つ存在が現れるようになってきています。

 特に、A.R.Rahmanについては、私が語らずとも、多くの人がその才能を語ってくれていると思います。彼の場合は、インドの伝統音楽風ばっかりだった映画の世界に、新しい時代の世界で流れているスタイルの音楽を次々取り入れ、インド流との融合を果たして、インド映画音楽の現代化に多大な影響力を与えた作曲家/歌い手/演奏家でもあります。
 また、最近では、例えばSanjey Leela Bansali監督のような方は、音楽監督も務めるマルチタレントの方でもあります。彼の場合は音楽は「インド伝統音楽に拠った」音楽づくりの方向の方ではありますので、映画全体の中に流れる音楽のテイストは、あくまでも「インド流」に拘ったものになり、サウンドトラックを購入しますと、そのような「インド流の作り」になっています。インドの従来の映画音楽では、古い作曲家や作詞家、歌い手プレイバックシンガーというような分業された才能の存在が、インド映画音楽を語る上では重要な存在になってきますが、膨大な話になるので(笑)、今回はその話はまた次の機会といたしましょう。

 もちろん、映画の中味が壮大な作品になってきますと、昨年の「Baahubali」だと、ハリウッド映画張りのBGMが必要になってきますので、そういうインドの作曲家に仕事を依頼するわけですが,このS.S.Rajamouli監督の映画は監督の親戚でやはり映画一族出身のM. M. Keeravaniが作成していたりもしますね。あ、!この人、アッキーの「Baby」も音楽やってたんだっ!こちらの映画は超一流スリラーでシリアスドラマですから、歌って踊ってっていうような従来のインド映画のカタからは離れた作品でしたからね。

 私がここでも取り上げた次世代の才能として、フルコンポーズできる人材として、M.Ghibranというタミルの作曲家をここで紹介していたりします。映画Uttama Villain」はとにかく音楽素晴らしかった!!!次の世代のA.R.Rahmanが現れたのではないかと私もひじょうに楽しみにその後の活躍を注視しております。→Ghibran on iTUnesM.Ghibran on iTunes

 また音楽に関しては才能のある人材を多く取り入れているインドでは、目を見張る才能の人材をピックアップすることもあり、私の最近のお気に入りの人材には、Mathias Duplessy (インドのテレビドラマ向け音楽や、映画でも)のその才能を公式サイトでチェックしてもらえるといいと思います。というか音楽好きなら絶対この感性にアンテナが引っ掛からないわけがない!チャンスがあるならライヴでみたい存在です。私は、Facebookやツイッターでも追いかけていまして、LIVE演奏の情報なども出ていますよ。(外国の話なので行けませんけどね(^^;))→Mathias Duplessy on iTunes

他にも従来通りの人気シンガーなどについては、またの機会に紹介するとしましょうか。


<Yash Raj Filmsは欧米的なBGM作成に・・>
 実は、販売網をインドだけではなく、世界向けに販売網を狙っているYash Raj Filmsなどは、早くから映画そのものを欧米風の技術やスタイルを取り入れてその販売網に乗せるべく努力をしてきている経緯がありまして、残念ながらサウンドトラックの販売網にそれらの全曲音源を入れたアルバムを見ることはあまりありませんが、映画を見ると中にはそういうサントラには紹介されていない勿体ないBGMが挿入された映画も多々ありまして、その傾向は新しい世代の映画製作者(=つまり欧米型の技術・スタイルを取り入れた製作者)に多いようです。 
 米国など日本でも映画のサントラは、ほぼ全曲BGM収められてメディア販売されています。またサントラマニア等もいたりして、あるいはMovie Soundtrack専門のラジオ局もあったりするので、社会的な認知度も高く評価されています。インドはこの方面に関しては独自の進化を映画業界に遂げたため、サントラというと、ヒットソングになるアイテムソングなど集めたアルバムが、販売網に載ってしまうのですが、時々には、タミルやテルグ市場などでは才能ある有名作曲家の作品は、アルバム販売されていたりします。

 そこで、ボリウッド・・・映画のスタイルはどんどん欧米化が進み技術も中味もクオリティも、ハリウッドと遜色ないレベルの作品を次々生み出してきています。その中で観客はというと、必ずしもその基準にあるわけではなく、インド国内で好まれる映画とインド国外で好まれるタイプの映画とでは、わりとその好みの傾向には開きがあります。もちろん販売網としても、フルサウンドオーケストラに視点を当てるようなビジネスはひかれていないもので、残念ながらこの点だけは、まだインド映画が世界の映画市場と同じ土壌のレベルのものとして異質な部分にもなっています。作られている作品としては、その音楽の質としては、その人材も、欧米型の音楽教育とインド流の音楽教育との両方を吸収した優秀な人材がそろっているのに、これら楽曲が映画の映像と一緒にしか出回らないのは、本当に残念なことと思います。
 インド映画界には是非とも、このフルサウンドBGMのアルバムビジネスラインにのせるところまで、私は育ってほしいと願っています。

<FAN のBGM>
 さて、この映画「FAN」ですが、作品がシリアスドラマであったことと、全くインド流のミュージカルスタイルをとらなかったがため、インド人にはどうも受け入れにくい作品になったようですが、欧米型の映画を見慣れている私たちにとっては違和感のないシャールクの演技の逸品となる作品となりました。
 それもそのはず、映画を2度目BDを見始めて次に私が感じたのは「音楽!」・・・BGMがフルオーケストラで全編にわたって良いストリングスの音が聞こえてきました。 もちろんインド映画も多くフルオーケストラBGMの映画をつくってきてもいますが、最近はフルオーケストラもコンピューターで合成できるために、そういうコンポーザーのBGM作成作業のものも少なくなく、しっかりしたフルオーケストラのサウンドでのBGMを耳にできたもので私は喜んで、映画を観終わった途端にエンディング・クレジットを確認することにしました。 そうなんです。私は実は映画音楽サントラ好きでもあるんです(^^;) クラッシック、フルオーケストラ好きなものでそっちに目が移ることもしょっちゅうなんです。
 
 そしたら、案の定!Background Music の項目に、Orchestra : Budapest Symphony Orchestraの文字を発見して、小躍りww  →楽団紹介 Site?。欧州の交響楽団への演奏を依頼をしたBGMなんだと、再度しっかりとBGMパートの名前を見ると、イタリア風の名前がずらずらと並んでいました。
 Orchestrators:(管弦楽)作曲家 のところにクレジットされていたのが、Andrea Guerra。ハリウッドなどの映画の音楽を担当する方でこんな記事も見つけました。
 ▼ Hollywood Composer Andrea Guerra to Score Background Music for SRK's Fan!
 IMDbの彼の経歴を見るとこらまた蒼々たるハリウッド映画の数々が!!彼の iTunesはコチラ。「ホテル・ルワンダ」とかウィルスミスの「幸せのちから」とかの映画の音楽を手掛けてる方でした。実はこの方、同じYRFのこのFANの監督Maneesh Sharmaがプロデューサーとして手掛けた「Dum Laga Ke Haisha」(2015)にも、コンポーザーとして名前を連ねています。この映画、インド映画音楽部門のところではなく、普通のBGMが良いなぁ~と思った私の耳は節穴では無かったのだなw 映画見たときは調べなかったけど。
 なるほど。M.Sharma監督は、FANを作成するにあたってはなから全編シリアスドラマにするつもりでいたので、いつものミュージカルコンセプトの作風を外したようです。 そして、その狙うどおりの作品にしあがり、その音楽のフルオーケストラの質の高さに、私のようなフルサウンド好きな人間が引っかかって、わざわざここでこんなアーティクルを書いてるというわけですな(^_^;) もう一人名前を連ねていたLuca Salvadoriについては、調べてみても良くわかりませんでした。パイプオルガンの演奏のYouTubeは引っかかったのですが、同じ方かどうかはわかりませんでしたので。ともかく音楽人脈はそのAndrea Guerra氏のつながりのミュージシャンなどが連ねて、ローマやブタペスト等のスタジオで作成されたものでした。
 
 この映画は、私はBGMのサントラが欲しなぁ~と思ったのですが、残念ながらサントラとして販売されてるのが、Jabra Songのものしかないのが残念です(もちろん持ってますww)。せっかくの欧州の交響楽団の(映画音楽とかこの手のシンフォニック楽団はレコーディングを請け負ったりしていますので)、そして有名イタリア作曲家の作品なのですから、この点に置いても欧米タイプのサントラという概念でビジネスを引いていただけたなら・・・と少々そこだけは残念に思っています。それだけのクオリティのある映画ゆえ、その音楽の方にもどうか耳を傾けて、従来のインド映画とは違う作品としても堪能してみてください。

 インド映画の形に、今後もどんどん、こういうスタイルの映画が取り込まれて、またその実力に応じた人材の登用がなされる作品が、国境をいくらも越えてできることを望んでもいます。またそれを見る側の観客の目も育ってほしいと願います。
a0308487_0274036.jpg

  @@ほんとに音楽いいよ。中盤~後半にかけてのBGMが特にいいですね。
by AkaneChiba | 2016-06-17 00:29 | 新・インド映画音楽 | Comments(0)

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