遅まきながら2013.2月にインド映画に恋をしてしまいました。


by Akane

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映画「Guzaarish」(グザーリッシュ:請願) (-2010)

 やっぱり、これは書いとかなきゃなぁ~と。5年前の映画ですが、おそらくここ5年程の間の10本の指に入るくらいの名作なので触れることにします。というか映画のテーマは不変なので、いつの時代でも褪せることなく見れる映画だと思うので、今からでも是非!映画祭などの上映候補の作品の一つにオススメですよ(^^)v
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a0308487_147154.jpg 映画『Guzaarish』(-2010) タイトルは日本語にすると『請願』という意味。あの超大作【Devdas】の監督、サンジェイ・リーラ・バンサーリー監督が、リティック・ローシャンを主役に「尊厳死」を扱った作品。
 インド映画は、実は本当に難しい映画もてんこ盛りにあって、さすがインド哲学の積み重ねてきた人類の文明の歴史の長さがある地域だよなぁ~と感心することしきりであるが、テーマが難しかったり重たかったりしたときに表現される映画は、群を抜いて表現が素晴らしく、また深いっ(ーー;)。
 今、その手の難しいテーマになる映画は、日本の監督はとことん下手になりましたし、薄っぺらいお涙ちょうだいの演出しかできないこれでもかー映画とかになってしまいました。加えて中途半端な広告でサクラ動員して「泣けるー!」とかネットで工作するんですから観客舐めきってますよ。その上、それに追随してる観客の泣けるとか前宣伝貰わなきゃ泣けないような人生しか送ってないのかよ~とつっ込みたくなることもシバシバ(苦笑)。日本の映画は60年代辺りくらいまでのころで終わっちゃったんじゃなかろうか・・・orz まぁ日本の現在はさておき、インドの現在の実力を唸りながら見ていただく一本の紹介としましょうか。

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a0308487_1554227.jpgあらすじ:主人公イーサン(リティック・ローシャン)は過去に名声を得たマジシャン。公演中の事故で首から下が不随になり、看護婦ソフィア(アイシュワリヤ・ラーイ・バッチャン)に毎日の世話をしてもらいながら、彼の親しい人たちに見守られながらDJとして活躍する希望の存在。彼はある日、友人の弁護士に「尊厳死」を認める訴えを起こすよう依頼をした。
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 内容が「尊厳死」をテーマにしていることもあって、話の前半10分だけで涙もろい人ならハンカチを片手にしてしまうかもしれません。この手の作品にありがちなお手軽なお涙ちょうだいの過剰な演出しかできない底の浅い作品などは、この監督の手にかかれば鼻紙同然かもしれない。
a0308487_223871.jpg テーマは重いのだが舞台を「ゴア」という旧ポルトガル領だったキリスト教の土地かつそれゆえに少々開放的な自由の空気のある南のリゾート地の美しい風景と、過去の彼の名声にあった時代の美しい時代の回想のシーンの淡々と流れる詩的な映像のおかげで、重いテーマを感じさせずにゆっくりと物語を進めていくあたりはこの監督の手腕にアッパレというほかありませんでした(^^;)。

 実はインドでは「尊厳死」は認められていない。もちろん尊厳死を求める者に何らかの措置を施したら、殺人罪で起訴される。この物語のエンディングはインドの映倫の関係で、HappyEndingっぽい『ぼやかしのまま』で〆られているのは、そういう法律的な事情もあるからだろう。が、DVD版を手に入れると、デリートシーンも収められているので、別のエンディングシーン?ともとれるシーンも含められている。ハリウッドなどでも、エンディングを何種類か作って撮影するようなことはあるが、映倫のようなことを頭に置いてということよりも、作品の表現方法として監督が市場に贈りだすのに選択肢を増やしている贅沢な理由の方が主かもしれない。(出す国によって中味を変えることもあるのは、侭ある話) インドの映倫は、性的な表現の規制はもちろんのことだが、国に関わるデリケートな法や方針などでも左右される範囲が複雑だが、プラス志向な傾向が強いように思う。(日本は逆にネガティブ方向な検閲の仕方をしていて、偽人権屋の文革レベルの全部バッサリ狩りのようなくだらない規制をしている気がする。インドの基準とはその辺が一線を画す。日本は極左の連中のやり過ぎで反って公平ではなさすぎる。この日本は一体どこの北朝鮮だといいたくなることがしばしば・・・)
 インドでは尊厳死を願い出るのにも裁判を起こさねばならない。先日、インドのニュースが流れたが、◆レイプで42年間昏睡の看護師が死亡 という記事があったが、彼女は42年前の犯罪被害で昏睡状態となり、1999年最高裁に彼女の死を求める訴えを彼女の友人のジャーナリストが起こしたことでインドの安楽死の議論の争点となった。2011年にインドで別の裁判で最高裁は末期患者の「消極的安楽死」を認める判決を下している。
 この映画の製作は2009年頃であり上映は2010年、そういう2011年の世論への喚起に一役買っているかもしれない。また製作が、バンサーリー監督、アイシュワリヤ、リティックと豪華にインドを代表する監督や俳優でこれらを表現していることも世論への後押しになっているのじゃないだろうか?その影響はあったのかどうかを知りたいところだ。ただインドでは尊厳死を実質望むほどの医療を続けられる存在はやはり極一部の裕福な者だけでもある現実もある。これらの世論が起きる様になっているのもインドの近年の経済成長の背景とグローバル化があるからでもあるだろう。経済成長を背景として中流階級層が増え、人々の意識もそれに合せて改革が迫られているその一部が、このような映画として製作される表現されているのか。

a0308487_1554647.jpg また、映像の手腕もずば抜けていて、何枚もの名画の絵画のシーンを重ねているような画面、その一枚一枚に差し込む光とシルエット、素晴らしい建築物や美しい庭、他にも様々な印象的な心象風景が表現されている映像は、なかなかそう見ることは出来ないかもしれません。この監督の映像は豪奢なセットや情景を作る人のようにも思えるのですが、この映画ではその豪奢で華美をやはり封印し静謐で重厚な屋敷で、彼の健常なころのセンスの良い伝統ある芸術家の個性を伺い知ることが出来るなど、それが非常に芸術的で美しい画面となって心の中に焼きつきます。(階段とか、海のシーンとかも、絵画を見ているようですよ)

 あと特筆すべき点に、アイシュワリヤは既に誰もが認めるところの素晴らしい女優であるが(またこの映画では他の映画では見られないアイシュを見ることが出来るので、アイシュ・ファンにも必見の映画ですよ ^^v)、リティックの演技が、彼がダンス、アクションとともに素晴らしい演技力のある俳優であることはここまでにも知られているが、それをさらに再度印象付ける映画になったのは称賛に値する。リティックは、デビューから3年目で障害者の役柄の映画で賞をいただいている(Koi...Mil Gaya -2003)。まだ若い分だけ、多少演技過剰と思えなくもないオーバーアクションだったかもしれないが、それでも演技力は確かでこちらもたいしたものだったが、それから7年後を得て再び今度は、全身を封印しての芝居である。殆どをその首から上だけで表現しているのだから、いや、もぉ~その豊かな表現力には唸る。まだ若いのに(笑)ベテラン熟年俳優のような域に達してるんじゃなかろうか(笑) 知られたことだが、リティックは多指症で6本目の指(親指)を持つ。欧米を意識した映画を作るときにはこれらは封印することもあるが、インドでは神の指を持つとあがめられる人物であることは付け加えておく。
 また、リティックのモダンバレエのようなマジックが、これがまたものすごく美しいんだわっ!(TДT)
a0308487_1571494.gif

 内容が重いテーマのため興行的に大成功収めた映画ではないが(どこの国でも興行成功収めるものは大衆娯楽作品で、難しい映画はそうでもない・笑)、近年のインド映画を語るうえで外すことのできない名作の一本なので、是非とも、この映画のDVDなどを手に入れて、じっくりとセリフとも向き合って『尊厳死』のテーマのその向こうにある『生きる』とはなにかを、考える機会にしてみてはいかがだろうか?

 @@こういう映画を「ハンカチ必携」というのだよ、諸君(笑)

    Gzaarish のトレーラー(UTVの映画はほんとにアッパレだよね)
 
by AkaneChiba | 2015-05-23 09:00 | 監督・スタッフ | Comments(0)

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