遅まきながら2013.2月にインド映画に恋をしてしまいました。


by Akane

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映画「Chennai Express」(邦題:チェンナイ・エクスプレス) 再解説 

一度、映画「Chennai Express」(邦題:チェンナイ・エクスプレス ~愛と勇気のヒーロー参上)を、ストーリーに触れないようにして解説しましたが、先日、上映館に行って日本語字幕で見てきた結果『チェンナイ・エクスプレス』と『Chennai Express』は別物 といいたくなるくらい翻訳がストーリーをキチンと読めてないことに不満を覚えたので、話に触れながら、その解説したいと思います。なので、ネタバレを含みますので、まだ観てない方はこのまま先を読まずに、そっ閉じ(笑)してくださいね(笑) 日本版を観てから、インド版を見て、その違いを堪能してもらったり、どうして映画会社がそんなことをするのかを考えてみたりするキッカケになってくれればと思います。
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 この映画には、表面上はコメディ仕立てのラブロマンスな物語ですが、それでもシャールク映画ですから、メインテーマやサブテーマってのも話の中にはしっかり挟み込まれています。映画紹介の時点では、見てない人には自分で気づいてほしいので、それはこのブログには書けませんでしたが、日本語字幕がそれを読み取れるレベルには全くないので、ここではネタバレの形でそれを私なりに解説したいと思います。

a0308487_1113279.jpg さて、映画のコーポレート紹介などが一通り終わって本編が始まります。その時にまず役者の名前がクレジットされます。その時、この映画は、ヒロインの「ディーピカ・パドゥコーン」から先にクレジットされて「シャールク・カーン」の名前が出てくるのです。そのことは、この映画の中に込めているあるテーマに重要に関わってきますので、シャールクよりもディーピカが先だったということを頭に置いておいてください。



 この映画はコメディドラマですので、実はシャールク映画なネタやインド映画ネタがあちこちに散りばめられてるツボがあります。シャールク映画を見てきた人は、その彼のフィルモグラフィーティックなネタを画面の中に見て、クスクスと笑うのです。
 映画はもちろんシャールクから始まります。レッドチリのVFXチームの仕事を見せてくれる主人公の生い立ち展開となっています。このあたりはすこーっし絵の雰囲気が「家族の四季」か「Mohabbatein?」「Devdas?」な屋敷内に流れて行くところから始まります。しかも演出も巧みにシーン展開切り替えもテンポがあり男のキャラクターがマンガティックに映ります。この主人公ラウルは40歳にもなるのに彼女も出来ず、爺様の遺灰を遺言に沿わないテキトーなところで流してゴアでガールハントしようというチャラ男君というキャラでもあります。シャールクといえば『ラウル』」というくらい、役名に『ラウル』なのは、もう定番の主人公名なのは言うまでもないお約束ですね。インドのクリケット名選手のサチン(日本で言うと長嶋みたいなものか?或いはサッカーのカズみたいなものか?)に、あれは本当に本物のサインいただいてたりするあたりも、インドを好きな人なら知っている話でもあり。
 爺様が死んで火葬にしている時に誰かが読んだ名言の文言が出され「人は生まれる前からその死が決まっている」その文言をみたラウル(この文言もネタw)は、その通りだと「Goa is on!」とゴア行きを決めちゃうのである。おばあちゃんに真剣にやりたいことみつけたいようなことを尤もらしく自分の気持ちを語ってるが、その根底は『Goa is On で綺麗なネエチャンとムニュムニャ・・・』という浅い浅いペラペラな動機だったりする(笑) ラウルの言葉はヒンディーと英語のチャンポンで如何にも生活豊かな北部の都会人らしい環境と立ち居振る舞いのキャラでもある。英語がわかりやすいので出来る限り簡単な英語は聴きとってほしい。Ooops!Let's Go Dhada zi 「おっっと。行こうぜ爺様」そんなノリなんである。

a0308487_1113326.jpg で、音楽がそこで列車のシーンになると、シャールクの代表作DDLJのBGMと共に列車に美女を電車に乗り入れさせる。シャールク映画のセルフパロディになっているのは、インド映画好きなら知らない者はいない名シーンだ。そして電車の中で歌合戦が始まる。シャールクもディーピカーも歌は苦手と言われてることは有名で(ディピカちゃんはそんなこと無いお上手でしたが)、この監督はその役者が苦手なことをさせる監督であると言うのも有名な話らしく、それをこの二人にさせている見どころだが、その時に使ってる音楽も、セルフパロディや有名な映画のフレーズを使っての、(インド映画っぽいなんちゃってな)ミュージカル仕立てなコントに仕立てている。しかしシャールク歌下手やな(レッスンしたら治る範囲なのになんでしないんだろ・笑) これだけはマジでマジです、シャールクの苦手なもの=歌(笑) 。
 で、トイレに立つところで、Nature Call と英語となる。この辺りくらいは普通に英語表現でも使うので『自然が呼んでる』で意味はわかるので『電話が呼んでる、自然も呼んでる』くらいでわかるのに、この辺の日本語の訳もかなりやり過ぎていたように思う。そして車両の合間にたって彼女を待っていると、突然彼女にキメキメにかっこつけて、自己紹介を始めるラウルだが、このあたりも彼の映画のセルフパロディだ。そのまま台詞丸まま使っている(笑) そしてNokiaの宣伝をここではじめる。シャールクはCMももちろんやってるわけで(笑) 軽薄兄ちゃん(おじちゃん?)なラウルは、最新型のスマフォ、オレ持ってるよと自慢してるスカした蘊蓄野郎でもあり、それに我関せず電話を借りたいミーナ。そこで、電話を貸そうとして捨てられて、脅されて電話の件は赦してやると、4Gでも5Gでもオレは買えるんだと恐がりながらキャンキャン強がりを喚いてみせるが、日本語訳では、この4G、5Gが訳されなかった・・・。爺様が死んだあとのモノローグで「インドラジオからツイッターまで」と言う言葉を訳すくせに、商品の4G、5Gくらい台詞にはいってたって、何が問題あるんだ?と、かなーりこの辺で日本語訳に、??と懸念がでてくる・・・。 企業商品だからダメってのでもないだろう・・・。ましてやNokia宣伝してるくせに、4G、5G(しかも5Gなんてこの映画製作時点ではまだ無いので、クスクス笑える)というのだから、何が問題があるんだ?
a0308487_1203728.jpg 電車のシーンで使われる歌セルフパロディは、Rab ne・・・の曲でもあり、Holi holi Hojai Ka~がこんなところで使われてっと、シャールク大好きな方々は、ここでもツボるわけで、そしてカッコつけて「Don't understimate the power of common man」ってところも、彼の映画「DON」や「DON2」のセルフパロディでポーズをつける。Donは決して捕まらないそういう男だみたいな意味合いの台詞の今度は正反対の意味の英語でオレは普通の男だと、Donと同じ語調でかっこつけるのである。シャールク映画のいろんなシーンを詰め込まれて、それがわかるネタでコント展開が続く。セルフパロディはセリフだけじゃなくもちろんそこに演技もそこに込められているので、そういうものを見ながらクスクス笑うような、ボリウッド映画を見てきた人たちにはツボなわけだ。
 これはインド映画でも特徴でもあるが、台詞も結構、リズムや音で聴かせるものも多く、韻を踏むようなセリフ展開や言い回しも、芝居っぽい南映画には多いかもしれないセリフを楽しむのも一つの楽しみ方だ。電車の外でミーナと言い合うラウルだが、Sucksという言葉も、日本語訳では、ピー用語扱いにしたかったようで、全く完全無視で訳さなかった・・・・。最低だって意味合いの汚い言葉でもあるのだが、ここでそういう喧嘩を二人がすることに意味があるので、日本語でいえば「糞っ!」くらいに訳してもいい。ここでハリウッド映画なら間違いなく「Fuck!」と言っている(笑)Fuckと言えないのでSuckと言っているシーンでもあるのだ。そういう言葉の入れ替えもインドの映画では時折見られる。それくらいは「俺の人生は最低だ」くらいのニュアンスで訳せばよかったものを、完無視したのには、少々驚いてしまった。シャールクの映画には「Fuck」と言う言葉は出てこない。Fishと言い変えたり、この辺りの言葉への配慮は、あの文化の価値観だからだろう。ハリウッドにはカントもファックもバスタードとかガンガン出てくるけどね(笑)

 場面はこの映画の最初の見どころとなる鉄道を借り切ってのロケシーンを見て、鉄オタ観客楽しみどころ(笑)や、絶景の景色を堪能し、このチェンナイ・エクスプレスの観光宣伝から、タミル観光の場面に映って行く。鉄道を堪能した後に次に主役となるのは、そう、車となっていく。チェンナイ他インドの東側の湾は、工業・貿易都市でもあり車の集積地でもある。インド観光の見所の映画であることは、第一条件として、インド産の車の宣伝も兼ねた映画であることも頭の隅にいれて欲しい。 舞台がタミルに移ってから、お手紙ネタは、これも誰もが知っているムトゥのアレですね(笑) 混乱するラウルはフードを被っているのもあのネタだよねw、混乱してノーマルノーマルと騒いで、ナームトゥホーガヤーあたりも好きに芝居をしてるよねと笑いながらファンは楽しめるのである(笑) 一通りの騒動の後、バイク→今度は乗り物が舟となり、ライフ・オブ・パイ?かと驚くシーンそうだが、そのすぐ後の、「Oil is well」は「All is(izz) well」と日本であれだけ興行収入をあげた映画「きっと、うまくいく」(原題:3idiots)の名文句をもじっているのだから、それすらも取り入れれていないのでは・・・・。さらに祖父の遺灰を調べられての「My name is Rahul and I'm not a terrorist.」という台詞とその芝居は、シャールクの代表作そのものであり、これを英語圏映画の翻訳者が知らない・・・と言われると・・・・・(FOX配給の映画だぞww)。 シュリ・・デヴィ・・にしろ。 ここらの部分が異訳になるのは、あまりにも訳者の技量を知識量を問われる話になるのだ。

a0308487_1113555.jpg ストーリーにおいては喧嘩をする男女というのは、普通にこれは相手を意識してなければ起こらない感情の葛藤で、妙なカッコツケで電車に美人の彼女を手助けした自分の行動で、大騒ぎに巻き込まれるが、女にのぼせあがって騒ぎに巻き込まれるのはこの世の常かもしれない(笑) ここで二人の対等ないがみ合いをしているシーンはよく覚えていてほしい。
a0308487_1175291.jpg ここでパパのお気に入りの車のSUZUKIのジムニーは、君のヒンディ語よりも悪いと、湖に沈んだジムニーをディスっているのだが、ここはチクリと暗にSUZUKI(国外車)よりもインドの車を推しているわけだ(笑)、それはインドにおけるSUZUKIの車の立ち位置を知った上で認めながらも、そこは印度の車産業のこれまでの発展と現状に置き変えて国外にも国内にもチクリと皮肉と読めるのは、私だけだろうか?(笑) (ま、シャールクはこの2013年も引き続きふんだい車のCMやってるしなぁ~・笑)

 小人のどこかの村人に会うシーンでは、ここが全くインド知識不足でわからなかったのだが、インドの多文化コミュニティについて表しているのかもしれないが、全くわからず解説は少々欲しかった。言葉の通じないラウルが困るのはわかるんだが。いろんな文化や種族があることを表現したかっただけだろうか?
 映画の前半はストーリーの起承転結の起承と、少々の転が入ったところで落ちつく。ダンス曲が一曲はいっているが、この曲は当時、インドの南だか海外のNRI南系のコミュニティだかのクラブシーンだかで流行っていたダンスのリズムを取り入れてたらしく、そういうトレンドキャッチーさを見せたシーンなので物語の本筋には、関係は無いと思う。しかしシャールクも久々にここまで軽快に踊ってくれてるのを見るとファンには堪らなく嬉しいものだ。
a0308487_225374.jpg

  インド映画はIntermissonを挟んで、後半に化けるものも多い。この映画も例外では無く、シャールクのセルフ・パロディ満載のこの映画の前半から、後半からは、話の本筋が進行する。二人が辿り着いた村(この村はもちろんこの映画の為に造られた村です。彼らの映画の良さはそのお金の掛け方の豪華さは見事ですぜw)では二人のというかミーナの気持ちが動き出す。喧嘩をする男女というのは、それだけで相手を意識しているということで、そこはいつでも逆転してしまう。この階段を登りきった彼を素敵に思えるのは、女性としては当然でもあり(その前までの情けないいい加減な彼とはうって変わってちゃんとやり遂げる彼でもある)、仮の夫婦を装うところで、7回生まれ変わっても一緒になれると村の人から祝福される言葉をナンセンスといってしまいミーナの心を測る距離を持たないラウルの行動は常に利己的ですが、女性が憧れるスゥンドゥールを何も考えずにつける彼に、一瞬ためらいを見せるミーナ(この場面もオームシャンティーオームのセルフパロディの先に進んだ形で、女性にとって神聖なスィンドールに拘る役柄を、7年前にディピカがシャールクとやっているのである)。ミーナはここでその感情の逆転現象が起きてしまったことを自覚するのだ。ミーナの揺れる女心を現す見せ場になるので、映画の主人公はシャールクかもしれないが、物語の主人公はミーナに映るのだ。ここでふんだんにインドの美しい風景を見せてくれる観光ビデオなミュージッククリップにもなっている(笑) 美しい情景を音楽と共に堪能して少しホッっと一息をつくのだ。

 あげといて落とすのはストーリーの常道(笑) ミーナをまんざらでもないくせに、夢のような村の生活から出ようとするラウル。多分、カットしてしまってるか時間が無くて撮りそこねてるかだと思うのだが、ここでラウルが夢のような村の生活で少しでもミーナに本気になりかけてしまいそうな自分に気付き、しかし、タンバガリやミーナの父のドン姿が頭に浮かぶと「とんでもない!」という臆病さで、頭を振って否定するようなシーンがあると、後の話にもう一つ繋がったはずなのに・・・と思うのですが。チャラ男は本気になる前に逃げ出そうとしたのかも知れず。ラウルの心ない一言でミーナは傷つき、逆にラウルがつかれたくない遺灰をいい加減に扱おうとしたことをなじります。祖母の祖父の気持ちを考えられないのかと。自分の事しか考えることが出来ないラウルは売り言葉に買い言葉もあって一人村を出ます。が、心にくすぶったもやもやは晴れず。前回は一人では到底抜け出せない南の地にミーナの元に戻るしかなかったラウルは、今度は自分の意思で戻ろうと・・・、

 女性への敬意を示さない、親も、娘を結婚の道具にする古い因習の残る土地で、娘はそこから逃げ出し、それでも伝統や文化を重んじるサリー衣装の彼女に対し、一方でスマフォ自慢でゴアでお姉ちゃんとチャラ男なジーンズ姿の都会人が、成り行きとはいえ一緒に逃亡の日々。この二人の装束も、この映画の中の二人のキャラクターの位置をわかり易く示したものでもあります。
 さてまた捕まって唄い出すシーンのコントは、セルフパロ意外に、いろんなものが突っ込まれてなかなか笑わせてくれますが、いくつわかりました?(笑) 二人はこの状況を打破しようとし、村人たちが彼らを逃がしてくれます。こんどの車は、インド製のマヘンドラの赤いTharジープです(その辺りも、チェックしてみてください・笑)。インド製の車で今回は逃げることになるのです。
 そしてミーナは大事なものをとりに戻ります。ラウルは「女はわからない、この緊急時に何を考えてるんだ」と批難めいたことを考えた瞬間、彼女がどうしてそんな行動をとったかを理解します。「本当に、女性は理解出来ない、わからない」とミーナの行動に感嘆/感動と同時に敬意を覚える瞬間で、この映画のとても重要なシーン、キーポイントになります。が、あの遺灰を取りに戻って帰ってくるミーナのシーンを、あの日本語異訳をしたのには、驚くほかなく・・・。とても重要なセリフをここでラウルはモノローグしてラウルの心もここで一気にミーナに動くのですが。その行動に心打たれたラウルは、祖父の遺灰を遺言どおりにラメシュワラへ流しに行くことを決心します。チャラ男がミーナの行動に感動をして、遺言を果たそうと180度態度を変えるシーンなのですから、この台詞はとても重要なのですが。その後の展開に全てにかかってきます。
 あの茶畑、山間部のシーンは、いろんな映画の中でインド映画では何度も何度も取られてきたアングルのシーンであり、この挿入歌「Kashimir main, Tu Kanyakumari」という曲がこの映画のテーマの根幹をなす曲となるのです。
 印度の北の自分も(ムンバイの都会人)、南のカンニャクマリ(インド本土最南端)端の君も、”ダブル”に北も南も内包する道を、いがみ合ったり時には近寄ったり、それでも少しづつ歩み寄って、歩いている道は一つの道を(インド車で)走っている、50/50で対等に立場や状況なんだよ・・・と歌うわけです。
 ラウルとミーナの男女の気持ちを代弁するラブソングで、男も女も対等にともとれる歌詞ですし、北のカシミールの僕と、南の果ての君というところに、インドの北と南の主張のし合い、時にはいけすかない北に対して南が反発したり、南を見下す北が存在したりする、いろんな種族や文化があるインドを、それでも僕たちはインドと言う国の車にのって進むんだ・・・と歌っているように私には聞こえます。

a0308487_1113445.jpgKashmir main tu kanyakumari
North-South ki kat gayi dekho doori hi saari
Kashmir tu main kanyakumari
Fifty-fifty har situation mein hissedaari..


I'm Kashmir and you're Kanyakumari
[both being the extreme ends of India]
All the distance of North and South is now over..
I'm Kashmir and you're Kanyakumari
We have a share of fifty-fifty in every situation..


 シャールクの映画は、啓蒙的意味合いのストーリーをよくつくります。北はそれでも都会は男女の地位はかなり近代的ですが、古い因習の残る地域は男女の地位は決して等しくはありません。彼の映画は女性のこの「地位」をもう少しインド国内、開明的に盲を開いて、女性を敬えよ・・・という映画をよくつくっています。インドに限らないですが、それでも古くから存在するインド社会の問題としてそれを啓発し続けなければならない現実があります。男女、私たちはここで50/50だと歌っているのです。
 ここにさらにOSOでデビューしたディーピカを思い出してください。シャールクは言うまでも無く不動の地位を築いているトップスターであり、新人のディピカをこの6-7年前に抜擢しましたが、今やディピカは、押しも押されぬトップ女優です。シャールクとディピカでは対等とまではいいませんが、ディピカがここまで成長したことを心の底から喜んでいるのは他でもない、その当時のシャールク+スタッフたちかもしれません。その世界的な知名度も役者としても一人前の目線に立ったことを讃えているのではないでしょうか?
 そこで最初のOPクレジットを思い出してください。シャールクは成長した「娘」(のような存在)を立てる形で、ディピカの名前を最初に置いた映画となったのではないでしょうか。
 都会の北と、伝統の南もどちらも対等な存在で歩いてきたインドの一員で、そして男と女も対等な存在で、シャールクとディピカもまたそのデビュー時より成長して、対等の役者として、その位置に立っている。この曲の示すところの「every situation」は、この映画の根幹をなすテーマに幾重にも重なっているのです。
a0308487_1113436.jpg これは少し聞いた話なのですが、北のおハイソ層からみると、南のルンギを身に纏うシャールクというシチュエーションは、北の位置にあるような人が南の位置にまで自分のレベルを下げて並んだような印象を持つこともあるそうです・・・うーんさすが人に階級のあり過ぎる国やな・・・その価値観すっげぇータカビーw(^^;)。シャールクは常に映画の主張として、インドは北も南も50/50だと同じだと歌い、ルンギを纏って踊るのですから、こういう点がシャールク映画のニヤリとさせられる一点になっているのがいいですね。

 そうここで祖父の遺灰も、祖母がガンガーで流すから、ラメシュワラで流してほしいと北と南で両方で流すことが祖父の遺言であることにストーリーに意味が初めて理解出来ます。真面目に祖父の遺言をまっとうし、(その遺言を全うできたのもミーナという女性に出会ったからで)旅の目的を終えて、二人に別れの時が来ます、その前日の夜、ミーナはこの旅の終わりを告げます。ミーナは『彼を思っているものの、ラウルはミーナを思っているわけではない』とミーナは思っています。ラウルはミーナの行き先を心配し、別れがたい気持ちを彼女に引き摺って追手の手の届かない(影響力の無い)ムンバイにと提案をしますが、とはいえ、プロポーズしているわけではなく・・・。ミーナは「もし父の追手がやってきた時、その時あなたの家に何故いるのか尋ねられたら、どう答えるの?(=私のことを好きだと言ってくれないの?というニュアンスが入ってます)」と、ミーナの告白にも近いこの問いに、ラウルは明確に『即答』が出来ないのです。私はプーナにいくわ、もうトラブルにあなたが巻き込まれることはないわと静かに答えます。
 これは愛じゃないのか、愛なのか?別れを前にラウルはミーナへの思いを反芻するラブソングがここで入ります。そして彼は決心します、いつまでも逃げ続けるわけにはいかないと。ラウルは、ミーナの父のいる地に戻ってきます。今度は自分の意思で。一度目は自分の予期せぬハプニングで戻ってきても、二度目はラウルは自分の意思でそれを選択するのです。ミーナの父を前に演説をはじめ、自分の真剣な思いを伝えます。娘の幸せを願わない父やファミリーなのかと、村人の尊敬を受ける父にはなっても娘の父には決してなれない、娘の気持ちを考えないのかと。インドが独立して66年もたつのにミーナのような女性にはその独立がいまだ認められないじゃないかと。・・・
 ここで、あの遺灰を取りに戻ったミーナを初めて女性として、一己の人として尊敬と驚きを見せた瞬間のラウルの台詞が、ここの場面で生きてくるのです。タンバガリに闘えと、彼女の為にオレは戦うと、なぜなら、彼女を愛しているからだ。と、初めてミーナに愛の告白をするのです。"I do"は、先にミーナにその時なぜ家にいるの?と答えられなかった『即答』を、このミーナの父とタンバガリ、他の皆の前で「答える」のです。(ちなみにこの愛の告白の所も、シャールクの映画のセルフ・パロディです「Yes Boss」だっけ?) あとはそのままアクションシーンで、ラウルの気持ちを闘う姿勢で試されます。ボロボロに叩きのめされる血だらけシャールクは、もうシャールク映画のお約束。炎を背負うのもお約束(笑) a0308487_1113515.jpgこの戦いでスコップやバケツで戦うあたりもちょっとした演出として効いてますね。 先の台詞を受けてここに、男女対等の存在である価値観を示しているテーマが伝わるのですが(あるいはインドの北も南も)、あの日本語訳ではそれが全く伝わらないのです。ダメ男がやる気を出した僕頑張る頑張ったヒーローな翻訳になってしまっているのには、がっくり来てしまいました。(翻訳者はインド映画を見てないだけでなく、日本語の漢字の間違い、その上、女性も男性の同等というストーリーや価値観も読めないのですから)
 戦い終わって、ミーナにプロポーズするのも、彼は普通のお菓子売り(お菓子の量を測って売るわけですから)ですから、僕が愛してるのと同じくらい愛してくれるか?と、この映画のメインの50/50となる歌に台詞がかかっています。
 ラウルとミーナの愛の度合いは同等で等しく、男女は違うものかも知れないし、北と南は違う価値観ややり方で生きているでしょうが、北も南も、男も女も同じだけ等しく、そして多くの文化慣習言語を越えて、一つにできるのは、愛であると・・・。

 最後に、Rajiniに敬意を表してThalaivaを踊ります。この2013年は、ディピカーがFilmefareを賞をとりまくったように、この年はディピカが名実ともにトップ女優として輝いた年となりましたが、他の様々な映画にでていて、ディピカはこの年、ラジニとも「Kochadhaihaan」にヒロイン役で出ています。おそらく撮影の順番や映画の公開の日付が、ラジニの入院で映画が遅れた都合はありましたが、その映画が決まっているからで、ディピカを立てて、また南の地域の映画を撮ったことにもラジニに敬意を表した、エンディングとなったのだと、私は理解しました。最初のOPのディピカのクレジットから始まり、そしてディピカを立てた映画となって終わったEDということなのだと。

 この映画にどういうテーマが重なっているかを読むためにも、インド映画に音楽が不可欠なことも、少しはわかってもらえるといいのですが・・・。ラウルがジーンズの都会人を現すのに対して、ミーナが終始サリーなのも、北と南の政治や文化的歴史形成なんかの立場の比喩ともとれるかも知れないことは、インドを理解する方々の解説で私も参考にさせていただければなと考えます。インド事情や66年の歴史を北と南でどんな風に世間の所感が育ってきて経てきたのかを、この映画が比ゆ的に表している部分があるのではないか?とも考えて、まぁぼちぼちネットや書籍などだけでもインドを理解してみたいと思います。
a0308487_1113563.jpg

  @@ね?今回のDVD販売日本語訳は別物でしょ?→追記有
by AkaneChiba | 2014-12-10 03:13 | Bollywood | Comments(0)

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